2010/10/13

ATOK Pad for iPhoneの使用感について

ATOK Pad for iPhone (以下、ATOK Pad)とアプリケーションを連携させるために何回かにわたって記事を書いてきましたが、今回はATOK Pad自体の使用感などについて述べたいと思います。評価するATOK Padのバージョンは1.1.0で、使用機はiPhone 3GS、使用時のOSのバージョンは4.0 (8A293)です。

2010.11.3追記 バージョン1.2からこの記事で述べているフリック感度が標準IMと同じくらいに調整されたようです。また、1.1以前と比べてクラッシュが少なくなっているようです
2011.1.17追記 バージョン 1.4からはBluetoothキーボードをサポートし、Apple Wireless Keyboard (JIS)などで動作確認もしているようです。

使用感

推測変換の精度は標準のIMと同程度で、むしろフォントが大きくなったことで提示数が少なくなっているので、トータルでの使い勝手はそれほどよくありません。そのため、オフにしたほうがよいというのをカスタマーレビューで見ましたが、次候補キーを上フリックで (文節を変更可能な) 通常の変換をすることができますので、個人的にはオンのままにしています (フリックが面倒なので次候補キーをタップで通常変換になるともっとよいのですが)。ちなみに、通常の変換の精度はなかなかです。文節区切りを間違えることもありますが、学習して次回からは正しく区切ってくれます。

なお、入力については日本語テンキー (フリック) と英語QWERTYキーボードという設定で行いました。このとき、「マルチタップ」はオフにしたほうがよいでしょう。フリック入力に慣れているなら不要であるケータイ入力をオフにできるため、より素早く入力できるようになります。

また、本体シェイクによる編集アンドゥはできなくなっていますが、代わりに左上の再変換キーを下フリックでそれが可能です。ATOK Padのテンキーの両端のキーにはこのようなフリックでの別機能がいろいろ割り付けられており、それがATOK Padを若干使いやすいものにしています。

一番便利なのはフリックでカーソル移動できることで、虫眼鏡を使わず楽に移動することができます。

また、フリックで単語や行単位の削除ができたり、鉤括弧「」が楽に使えたり (未入力状態で濁点キーが鉤括弧になる) します。マルチタップオフと両端キーのフリック機能 (特にカーソル移動) は標準IMにも採用して欲しい機能だと思います。

問題点

テンキー入力の問題としては「あ」段の遊びが少ないのか、「あ」を「い」に打ち間違えるといったことが多いです。大した問題ではないように見えるかもしれませんが、快適に高速入力するという点では非常に重大な問題です。ちなみに両端のキーも同様なため、「あ」を「い」に打ち間違えて一文字削除しようとして行単位削除してしまうということもあります。

また、ATOK PadのQWERTY入力(左)では記号入力キーを標準IM (右)と異なる位置にしており随分使い勝手が悪いです。通常の配置のままでctrlを右に置けばよかったと思います。

また、気になるのはアプリケーションがよく落ちることです。ウェブ上でも同様の症状の人はそれほどいないようですので、所有機固有の問題かもしれませんが、Organizerで確認したところ、通算15回クラッシュしています。手元の環境ではひとつのテキスト表示時に編集を開始しようとしてタップした時に落ちることが多いです(落ちても編集中のデータを失う状況ではないので、その点についてはまだましですが)。

Exception Type:  EXC_BAD_ACCESS (SIGBUS)
Exception Codes: KERN_PROTECTION_FAILURE at 0x00000000Crashed Thread:  0

アプリケーションで連携する際の問題点

開発者としてATOK Padと連携する側から言えば、次の2点が起動パラメータとして指定できるようにして欲しいです。

  • 編集開始時のカーソルの位置を指定する
    現状ではフリックによるスクロールしかなく、サイズの大きいテキストの末尾への移動が大変なためです
  • 起動直後に編集モードでキーボードしている状態になる
    現状では純正の「メモ帳」のようにタップすると編集開始なのですが、短かい文章だとこちらのほうがよいでしょう

まとめ

ATOK Pad for iPhoneの使用感について述べました。結論から言えば、現バージョンではiPhoneアプリケーションとして1200円の価値を見い出すのは難しいと思います。もっとも、購入してからiPhoneで文章を入力する頻度は確実に増えているため、購入した意味はあったのかなと感じています。また、公式サポートはないですがワイヤレスキーボードも使用可能なようですし、それを使えば別の価値を見い出せるかもしれません。

(以上、プログラミングに関係のない上にカスタマーレビューに書けといわれそうな内容での長文・駄文失礼しました)

なお、「ATOK」および「ATOK Pad」は、株式会社ジャストシステムの登録商標または商標です。

ちなみにATOK Pad起動前と起動後のメモリ使用状況は次の通りです。起動前(左)と比べて起動後(右)はFreeを約8MB消費しています。

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